「天融塾」稽古心得
天融塾生に読んで頂きたい「合気道の歴史と技」について書かれた書籍等の紹介
合気道の歴史・植芝盛平翁について理解するには次のものが参考になります。
○植芝吉祥丸「合気道開祖植芝盛平伝」出版芸術社、1994(平成6)年、2016(平成28)年、
○植芝吉祥丸「合気道のこころ 復刻版」出版芸術社、2008(平成20)年、
○合気ニュース「決定版開祖を語る直弟子たち 植芝盛平と合気道Ⅰ」合気ニュース、2006(平成18)年、
○清水豊「植芝盛平の武産合気」柏書房、2006(平成18)年、
○藤平光一「中村天風と植芝盛平氣の確立<技の伝授>」東洋経済新報社、1999(平成11)年、
○植芝吉祥丸「合気道一路戦後合気道発展への風と雲」出版芸術社、1995(平成7)年、
○合気ニュース「続 植芝盛平と合気道 開祖を語る13人の弟子たち」合気ニュース、1995(平成7)年、
○桜沢如一「道(タオ)の原理 武道が伝える日本精神の源流」日本CI協会、1994(平成6)年、
○合気ニュース「植芝盛平と合気道 開祖を語る19人の弟子たち」合気ニュース、1990(平成2)年、
○植芝吉祥丸「合気神髄 合気道開祖植芝盛平語録」柏樹社、1990(平成2)年、
○高橋秀雄「植芝盛平先生口述 武産合気」白光出版、1986(昭和61)年、
○砂泊兼基「合気道開祖植芝盛平伝「武の真人」」たま出版、1981(昭和56)年
○津本 陽「黄金の天馬」文春文庫、1987(昭和62)年、(物語が面白くて一気に読みました。)
◯ 加来耕三「戦後合気道群雄伝(世界の合気道を創った男たち)」 出版芸術社、2008(平成20)年
合気道の基本技を理解するには次の書物やDVDが参考になります。
合気会以外の物でも合気道の技は、参考になりますが我々の合気道は本部系合気道ですので、故植芝盛平翁、故植芝吉祥丸道主・現植芝守央道主・現植芝充央道場長のテキスト・DVDの技を参考にしましょう。
○植芝充央「合気会公式テキスト・規範 合気道入門編」出版芸術社、2016(平成28)年、
○植芝充央「もっとうまくなるスポーツVシリーズ・合気道」ナツメ社、2011(平成23)年、
○植芝守央「スポーツ・ステップアップDVDシリーズ合気道パーフェクトマスター」新星出版社、2009(平成21)年、
○植芝盛平監修 植芝吉祥丸「合氣道」光和堂、1957(昭和32)年、(出版芸術社より1996(平成8)年に復刻版が出ています。)
次は植芝盛平翁の直弟子・山口清吾先生のご子息(山口晢先生)がまとめられた本です。
○山口哲『山口清吾先生伝合気道「道と術 理と業」』松が丘出版、合気道 山口道場、2016(平成28)年、
○山口哲『山口清吾先生伝合気道「わざ」合気呼吸稽古鍛錬法』松が丘出版、合気道 山口道場、2016(平成28)年、
※ 他にも合気道に関するたくさんの本やDVDがあります。最初に買われるときは合気会(植芝盛平翁が創始された合気道の団体)の合気道に関するものを選んでください。
「合気道天融塾」初心者の方へ
植芝吉祥丸「合気道のこころ」、「合気神髄」、「合気道」を読むと良いですよ。他にも、高橋英雄「植芝盛平先生口述・武産合気」、桜沢如一「道の原理」、植芝守央「合気道・稽古とこころ」はお薦めです。また、藤平光一「中村天風と植芝盛平・気の確立」は、気の妙用によって宇宙と気を結び天地の気と一体となれる「心身統一(心と身体が一つになる)」こと、気の大切さを教えてくれます。これらの書物を通して合気道の「道」をつかんでください。
「道」を探究し、合気道を稽古しましょう。
《呼吸》合気道の呼吸は自然呼吸ですが、吸う息よりも吐く息をできるだけ長〜くします。取り(受けの攻撃を捌き、技をかける側)は、受け(技をかけられる側)から攻撃を受ける瞬間、息を吸って、受けの攻撃を捌くときに息をゆっくり長く吐くことを心掛けてください。息が上がって辛くなって来た時も吸う息よりも吐く息を意識してとにかく息を吐きましょう。吐く息をゆっくり長〜く吐き出すことに集中して吐き切るまで吐く。「ハアー」と声を出したらよろしい。そうすれば吸う息は自然に任せていれば一瞬で成されます。(合気道洗心館道場・故中西政春館長の呼吸法)
《コーヒー・ブレイク》「信奉宇宙霊感應即現成(シンポウ・ウチュウレイ・カンオウ・ソク・ゲンジョウ)」と唱えることを故中西館長(恩師)は実行されていました。「とにかく唱えなさい。」と一緒に唱和したことを思い出します。(「信奉宇宙霊感應即現成」、信じる信じないは別です。変な人と思われるかも知れないので、他人には言わないつもりでしたが言ってしまいました ( ◠‿◠ ) 合気道洗心館道場・故中西政春館長が伝える唱和「信奉宇宙霊感應即現成」)
合気道は、「礼に始まり礼に終わる。」と言われ、礼を大切にする武道です。稽古するにあたり、初心者は次のことを会得しましょう。これらは直ぐにできなくても徐々にできるようにな成ればよろしい。内容は、直接聞いてください。
なお、合気道の稽古は受身ができるようになることが第一です。特に受身をしっかり稽古してください。どんな体勢からでも身体を守る受身ができるようになってくれば、自然と取りの技は会得できて来ます。
《礼法》立礼(道場の出入り)、座礼(正面神棚に礼、お互いに礼)、座り方(神棚を正面に)
《合気道の基本姿勢》常に半身の構え(左半身、右半身、相半身、逆半身)
《受身(回転しない受身、回転する受身)》前方受身、後方受身、側方受身、飛び受身、
《足捌き》歩み足、送り足、継ぎ足、忍び足、
《体捌き》入身、転換(外転換)、反対転換(内転換)、転身、内転回、 外転回、
《膝行》前膝行、後ろ膝行、転回膝行、
《呼吸法》座技呼吸法、立技呼吸法、
《受けの攻撃》正面打ち、横面打ち、突き、片手取り、交差取り。両手取り、諸手取り、など
《心身統一》折れない腕、持ち上がらない身体、正座の統一、立ち姿の統一、など
《合気道の体操》合気道の前後に身体をほぐして刺激を与え合気道の身体づくりを行うという意味があります。また合気道の単独動作の一部ともなり心身統一の鍛錬にもなります。体操だけでも合気道の身体づくりができ健康になります。体操の時間に遅れた場合には、事前に一人で柔軟体操だけでもしてから稽古に入ってください。なお、稽古の最後にクールダウンの呼吸法・身体をほぐす体操もしてください。
合気道を稽古するうえで大切にしてほしいこと。
下記のことを意識して合気道を稽古してください。特に全身の全ての力を完全に抜いて(腑抜けにならない様に気をしっかり入れて)、稽古相手の気や動きに逆らわないで(頑張らないで)、気を研ぎ澄まして相手の気に感応してください。力を抜くのが一番難しいです。難しいでしょうが、力を抜けば気が研ぎ澄まされた身体も動きやすくなります。脱力して即座に感応できる合気道を目指しましょう。
1、臍下の一点に心を鎮め(心身を)統一する。
2、全身の力を完全に抜く(腑抜けにならない様に)
3、身体の全ての重みをその最下部に置く。
4、気を出す。
5、相手の気も尊重する。
6、正中線・真中で上下運動・左右運動・全ての捌き。
7、相手の攻撃を受けない様に体捌き。
8、相手の気を受け入れる。
9、気を感じた刹那には動いている。
10、居つかない、止まらない。
11、足は開いたら閉じる。
12、手と脚は常に同じ方を動かす。
13、手も足も体捌きも全て円運動。
14、全て重心移動。体捌きで合気道を行う。
15、入身、転換、転身、転回、諸々の体捌きをする。
合気道技の表と裏
合気道技の表と裏
「合気道技の表と裏」について質問されるのでお答えします。
- 合気道技の稽古上、技には「表と裏」があります。
- 一般的に「表(オモテ)」を「入身(イリミ)」、「裏(ウラ)」を「転換(テンカン)」という説もありますが、「入身(イリミ)」と「転換(テンカン)」の合気道の動作(捌き)から、「表と裏」を分けることよりも、合気道技を稽古する場合の「受け(注1)の攻撃に対して取り(注1)の対処位置」として、「受けの前方位置にて受けの攻撃を、入身して捌いたり、後退して捌いたり、転換して捌いたり、転身して捌いたり、転回して捌いたり、上下運動・左右運動・円転運動で捌いたりして後、受けの前面で取りが技を掛ける」場合を「表(オモテ)」と称します。「受けと取りの両者の位置関係」は、取りが受けの前方位置にいても最終的に「取りが受けの側面に入身転換して受けの攻撃を捌き、受けの背面で技を掛ける」場合を「裏(ウラ)」と称しています。稽古上、天融塾の稽古では、便宜的に「表と裏」2つに分けています。「表を左右、裏を左右」合計4通りの同じ技を稽古して、表・裏・左右の得手不得手を無くしてバランス良く会得して頂くためのものと思っていただいたら良いと思います。
「表と裏」は次のように要約できます。
(A)、「表(オモテ)」=取り(技を掛ける側)が、受け(技をかけられる側)の正面側(前側)にて合気道技を掛けるように動き(捌き)ます。(B)、「裏(ウラ)」=取り(技を掛ける側、約束した攻撃をしてもらう側)が、受け(技をかけられる側、約束した攻撃をする側)の側面側から転換して、後ろ側にて合気道技を掛けるように動き(捌き)ます。
*「取りと受け」: 合気道では、合気道技を仕掛ける側を「取り」、合気道技を受ける側を「受け」と称します。合気道では、約束した攻撃を仕掛ける側が合気道技を受けるので「受け」と称し「受け身」を行います。「受け身」は、合気道の稽古では「受け身」が特に大切な稽古です。稽古では、最初に受け身(転ぶ稽古・倒れる稽古)から稽古しますが、「受け身」で転ぶ・倒れるときは体にダメージが少ないように柔らかく音が立たないように転ぶ・倒れることが大切です。体にダメージを受けないように球体になって転がったり、衝撃をまともに受けないように倒れたり、衝撃をショックアブソーバーや球体のようにソフトに吸収することが大切です。
* 合気道では、約束した攻撃をされる側を「取り」と称します。約束した受けからの攻撃であってもダメージを受けないように体を移動して合気道技で体を捌き、受けからの攻撃を捌き制する稽古をします。常に受けの攻撃・反撃のリスクを念頭において安全圏を確保できる「受け」との位置を取りつつ体を移動します。
2)(A)「表(オモテ)」の動作(入身)と(B)「裏(ウラ)」の動作(転換)
合気道の稽古技によっては、「表裏」稽古しない技もあります。例えば、「肩落とし」、「裏返し」、「前方投げ」、「呼吸法」のような技では「表裏」稽古をしません。
基本的に表の位置で技を掛けますと「表の技」、裏の位置に移動して受けを転回させるように技を掛けると「裏の技」になります。
受けの押しの勢いが強い場合、取りは対抗せずにその勢いを受け流すぐらいのつもりで体を捌いた後、受けと同じ方向に前に出れば「表」、受けの側面に入身転換すれば「裏」と考えれば良いと思います。逆に受けの引きの勢いが強い場合は、取りは対抗せずにその勢いに乗るぐらいのつもりで体を捌いた後、受けの引きと同じ方向に前に出れば「表」、受けの向きを変えさせて側面に入身転換すれば「裏」と考えれば良いと思います。受けの表の位置に移動して表の位置で技を掛けますと「表の技」、裏の位置に移動して受けを転回させるように技を掛けると「裏の技」になります。
(A)、「表(オモテ)」=基本は、受けの前に入身しますが、そのとき取りの脚は受けに対して外側から歩み足でジグザグに歩みます。脚は開いたら閉じることを忘れないこと。歩むときの重心移動をしっかり鍛錬すること。
「転身」や「内転換」にて受けの前に移動して受けの攻撃を捌いてから、受けを取りの周りを巡らせて体を崩して後に表側に技を掛けることもあります。
(B)、「裏(ウラ)」=基本は、「外転換」受けの側面に入身してすぐに背面転換します。受けの体の側面から入身転換して崩しつつ技を掛けますが、常に受けの攻撃を避けて後ろにいます。「転身」や「内転換」にて受けの前に移動して受けの攻撃を捌いてから、受けを取りの周りを巡らせて体を崩して後に受けの「側面〜裏」にて技を掛けることもできます。
「表と裏」を稽古することで、取りは、同じ合気道技で受けの前面での捌き方=「表(オモテ)」と入身転換する背面への捌き方=「裏」(ウラ)」を会得しましょう。
(以上)
「合気道天融塾」での稽古項目を□チェックしましょう」
稽古項目をチェック。貴方にとって未経験項目や、わからない項目があれば、指導者に聞いてください。
□合気道には相対動作と単独動作があります。合気道の稽古は、原則、取りと受けとの相対動作で稽古しますが、「一人稽古」と称して単独で合気道の動作を行う稽古法があります。これは、合気道の技を、何回も相手がいるものと想定して、一人(単独)で動作を行い、力まず、いろんな角度から修練するのに良い稽古法です。相対稽古ばかりでなく一人稽古もお勧めします。道場では相対稽古を主とし、道場以外では是非一人稽古をしましょう。
□A)体捌き(入身(表)と転換(裏)を理解しましょう。)
その他も技の稽古を通して理解しましょう。
1、直入身(諸手取り・直入身投げ)
2、入身転換(正面打ち・入り身投げ)
3、外転換(片手取り・後方入身投げ)
4、内転換・反対転換(片手取り・気の流れ四方投げ)
5、転身(横面打ち・気の流れ四方投げ)
□B)足捌き・運足(うんそく、はこびあし)
1、半身での歩足(あゆみあし)
2、半身での継足(つぎあし)・送足(おくりあし)
3、転回足(てんかいあし)
□C) 手捌き
1、外斬り回し(受けの腕の外側からの斬り回し)
2、内斬り回し(受けの腕の内側からの斬り回し)
3、一教上下運動(臍を真中に小指から上に、小指の伸長力を意識し上げます。下げる時は肘を意識して重力で下げましょう。上げる時は頭上のずっと上、宇宙の彼方に向かってを意識して真上に上げましょう。下げる時は足下のずっと下、地球の中心に向かってを意識して真下に下げましょう。「正中線は臍の真ん前の上下線上」)
4、円運動(臍と上下を意識し円運動を行いましょう。上に伸ばす腕の伸長力と落とすときには肘を意識し肘からの重みで自然落下した腕がそのまま指先から上に上がって来ると意識します。腕は肘を伸ばさずに、円運動する腕の重力・伸長力を意識しましょう。「身体の全ての重みはその最下部にあり」)
5、左右運動(臍を真中に左右を意識しましょう。伸ばす腕の伸長力と伸ばさない腕の臍との位置、上下共に腕の重力・伸長力を意識しましょう。)
□D) 膝行
1、前膝行、
2、後ろ膝行
3、転回膝行
□E) 受身
1、前受身・前回転受身
2、後ろ受身・後ろ回転受身
3、横受身
□F) 当て身
合気道では当てのみを稽古することをしません。合気道の技の過程で受けが当てを使って取りの無造作な捌きをした場合に、「その位置はマズイよ」と取りに警鐘を与えるなどに使ってください。もちろん取りの受けとの位置・間合いは受けからの反撃リスクを常に考慮して、受けからの当てが入らない位置・間合いで逆に取りの当てが受けに入る間合い・位置を確保します。当てがいつでもできる間合い・位置を取ることで合気道の技が生きてきますからその位置へ移動することが大切です。しかし当てにこだわり過ぎて合気道の動きが止まってしまうのは良くありません。当ては受けの攻撃に対処する為に合気道の技をかける一環として使うことが大切です。
1、正拳当て
2、裏拳当て
3、掌底当て
4、手刀当て
5、肘当て
6、頭突き当て
7、蹴り当て(ヒザ・脚・足)
□G) 死角への体捌き
合気道の捌きでは相手の死角に位置することが大切です。死角に位置しない場合でも相手からの攻撃を受けない位置(自分からの攻撃はいつでもできるけどしない)が大切です。相手の背中が見える位置(背中を取る)が大切です。
□H) 真中・正中線での捌き
自分の真中(お臍の前)を常に意識して、そこが正中線と意識して、上下運動・左右運動・円運動を行う。自分の真中と相手の真中を意識して、完全に脱力して(腑抜けにならないように)、常に移動する(居つかない)体捌きで相手と和合する合気道を心がけましょう。